逮捕者がでたからといって作品を非公開することに、反対する

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手塚社長は「わたしたち製作担当チームと、関係企業のなかで何度も相談を続けました。」

「映画はクローズドなコンテンツ。テレビ、CMとは質の異なるものであると思っております。作品と個人は別のものであるという東映の見解により、今回は作品を守るという判断をいたしました。」

 

社長が苦悶し、またスポンサー各社に頭を下げ廻った様子が伺える。
コロナ禍でエンタメ業界が大変な時期であることも含めスポンサー各社が理解してくれたのだと思う。
映画1本撮るのに邦画で10~30億円以上かかる。ただでさえ映画館も含めて大幅減収で苦悩が続いている最中に長い時間と大金をかけた作品をお蔵入りさせるのはあまりにも痛手が大き過ぎる。


双方の契約上、出演者が逮捕された場合は作品等の公開を取止め公開済みのものは公開中止する。という内容で契約して明文化されていたのであれば契約に従うしかない。
しかし実際のところ公開禁止や公開中止の措置は明文化されずに暗黙の約束みたいなところで行われている。
車を駐禁で取締られたではなく明らかな違法、反社会行為を行った容疑者は赦されるべきものではない。しかしたった1人の違法行為によって大勢が被害を被ることを強いる今の十把一絡げな処罰処置は、絶対にやるべきではない。

 

もし作品をお蔵入り、発禁にしなければならないケースがあるとすれば、それは興行主である映画会社自体が違法行為を行ったとき、出演者やスタッフの大半が違法行為を行った場合。それ以外の、1人の関係者が違法行為をしたからといって作品を発禁にするのは、俺は許せない。

しかし違法行為した者が、作品の原作者、監督、主演役、重要な助演役だった場合は影響範囲は少なくなく放映や上映を取止めざるを得なくなるだろう。致し方ない部分は出てくる。

裁判やエンタメなどで先を行っている米国では、違法行為があった俳優らを降板させたり製作打ち切りを行うことはあるが、完成済みや公開済みの作品を廃版、お蔵入りすることは無いように思う。

事実、男児性暴行で批判され降板、引退を余儀なくされたケビン・スペイシー出演の作品は、過去の作品であればNetflixほかで今も公開されている。


出演者やスタッフに逮捕者や道義的責任を問われた人があったら、それは違反違法を犯した人を降板し、ギャラやインセンティブの支払いを停止すればよい。

今後このような出来事があった時の対処や違法者に対する措置を、明文化すべき。

 

麻薬や大麻を使う理由は幾つかあるが、大半は疲労を和らげるためという。

今回逮捕された伊勢谷は多くの作品に関わり、また自身の芸能プロダクション会社の代表だったことなどから、日々多忙を極めていたことは容易に想像できる。
毎日の疲れから開放するために大麻を使っていたのかもしれないが、様々な議論はあるものの今の日本では大麻は違法であり、刑事罰相当の犯罪行為。
そのことを知らずに大麻を使っていたとはとても思えない。

 

しかしである。だからといって犯罪行為した者がいるからという理由だけで、多くの人が長い期間携わって作ってきた作品を無にすることは許される行為ではない。

ステークホルダーとの間で明文化された取決め、約束をしていると思う。
今後その約束の1つに逮捕者が出た場合でも、
・作品の製作が既に完成している場合
・既に公開済みである場合
・製作中の場合で全体の7割以上が完成している場合
・シリーズ続編作品の既に公開、上映済みの分がある場合
このような状況の作品は、映画館やネットでの公開やメディア販売を中断や中止を
しなくて良い、継続してよいことの同意、承認を交わしておくべきだ。