3話目からだったけど案の定というかYoutubeに置いてあったもんだから5話まで見てしまった。
傷追い人は1982年に小池一夫、池上遼一の両氏によって描かれた作品。1986年にOVA化された。アニメはVHS、レーザーディスク版があるのみ。
2019年に死去した小池一夫氏は言わずと知れた「子連れ狼」が大ヒット。その後、小池塾を開き数多くの漫画家らを輩出した。
またTwitterや、2011年ごろからニコニコ生放送などで精力的に活動。
俺はニコ生の「小池一夫のニコニコキャラクター塾!」をよく見ていた。しかし亡くなられる3年か4年くらい前から放送を止められ、久方ぶりに姿を見たらげっそり痩せ細られた姿を見て死こそ想像しなかったが大病を患われたことは察した。
ニコ生で放送されていた最中も小池塾は細々と開校されていた。
確か3カ月くらいで6万だったか10万だったかだったと思うが、当時俺はいまほど余裕が無かった時期だったので指を咥えてみているだけだったが今思えば借金してでも受講しておけばよかったと思うほど。
傷追い人は当時、ラブコメ主流時期に一石を投じたかった小池氏の思いと出版社側の思いがあって生まれた作品だとあった。
闇の組織に狙われた主人公。それを庇おうとして身代わりに死んだ恋人。そこから大規模組織と対峙する復讐劇が描かれている。
こういう点でいえば好きな作品であるベルセルク(作・三浦建太郎)もまた復讐劇。
悶々としたストレスを、自分の腕力で捻じ伏せれないもどかしさを作品に託したがっているのかもしれない。と少し思った。
傷追い人は俺の多感な時期に触れられた作品だった。とてもインパクトがあった。だから今でも機会があれば見ている。
アニメは割と原作を忠実に再現しているが、黄金の船や毒蛾や執事パリ、空母などの演出は目を見張るものがあった。
ただただ自分の恋人たちを殺されたことに対する復讐だけで多分40年以上を投じた主人公の復讐劇は、俺は感動した。
小池氏の過去動画などは出回っているので興味ある人は探してみてみればいいと思うが、根底にあるのは「キャラクターを立てること」この一点であることが良く分かる。
勿論ストーリーの盛り上がらせ方、落とし方も大事だが、ニコ生放送で虚淵氏をゲストに迎えた回でも終始キャラクター論の話ばかりしていた。
(虚淵氏は小池氏に押された格好で同意していたのでちょっと可哀想に感じたが)
多忙なときは週に6本を抱えていたと言い、眠い時はマッチの燃えカスを手の甲に付けて目を覚ましていたと武勇伝も披露されていた。
さすがにそれはやり過ぎだと思うけど、そうすることになったのは小池氏が子連れ狼でヒットするまで、司法試験3度失敗や漫画家や小説家を目指して度重なる挫折を経験したことが根底にあると思う。
「いま案件を落としたら俺は後がない」
そういう思いがとても強かったのではないかと俺は思う。
亡くなられたのが2年前。できれば三日三晩、いろいろ話を聞きたかった。
一部の人からは批判の的だったろうが、俺にとっては心の師といっても過言ではないそういう存在だった。
俺は決して見た作品、読んだ作品は本当に少ない。
少ない理由は週刊だと次が気になってしょうがなくなるのが嫌なのと、自分にとって雑になる話(物語)を身に入れたくなかったというのが理由。
その代わりに好きな作品は何度でも見る派。
中高生のときは熱血漢のある作品を特に好んでいたし今も好んでいるが、自分の中で反芻をする中で作品に落とし込むのならやっぱり「切なさ」だと思っている。
0歳で死ぬ人もいれば110歳で死ぬ人もいる。仮に1000年生きれたとしてもいずれ死ぬことから免れることはない。
普段の生活も学校も会社もサークルも趣味も恋も。どれも切ない。
それは全てにおいて終わりがあるから。