元SMAP放送でネットが勝った、わけではない。

勝手にTV側が負けてくれた、もっといえばTVは自分で自分の首枷、手枷、足枷をつけて
「エンターテイメントコンテンツ」の排出力を落としていっただけ。

前にも言ったがネットのコンテンツ、そもそも作っているのはTVコンテンツを作っている製作会社だということ。
abemaは企画に参加するものの実働部隊は、TV番組制作会社。

etflixがハウスオブカードから始めたネット企業主導制作の番組だが、たぶん最初はどこも懐疑的だったと思う。
つまり売れない、利益は出ないと思われたいた。
ハウスオブカードでどれだけ加入者増加に寄与したのか、売上がどれだけだったのかはNetflixの内部情報のためたぶんこの先も公開されないだろう。しかしNetflixが第2、第3の独自コンテンツを作っていることから少なくとも失敗ではなかったことは伺える。そればかりかHuluやAmazonも独自コンテンツを作っている。
ニコ生(ドワンゴ)も独自コンテンツは作っているものの、製作規模はせいぜい30~300万円レベルの低予算が中心。稀に500~1000万円規模の中堅イベントに出資やスポンサーしていることはあるが。

今回の元SMAPによる72時間番組、10億円規模ともいわれる番組が制作されたことは、大博打だ。
たぶんサイバーエージェントがたった3日のために10億も出すことは、今後ないかもしれない。
時間で割れば2時間ドラマなら36話分に相当し、金額規模で割れば9~6話分に相当する。
余談だがアニメの製作費で割れば50話分以上になる。
ノースポンサー、自社持ち番組としては過去最大級、NHKの大河ドラマ紅白歌合戦レベルの掛け方だ。


11/19、アイドルマスターシンデレラガールズのリアルイベント中継が、ニコ生とabemaであった。
高校野球日本シリーズならNHKと民放それぞれで放送中継することはあるが、同じコンテンツを2局で中継し放送することは、TVの世界では基本的にない。
こういうところを取ってもネット放送に優位性を感じる部分だ。


だが。最初に言ったように実務は既存のテレビ番組制作会社だということ。
ここを根本的に変えていかないと、TV番組との差はあまり広がらないし平行線のまま。
やはり通常やっている番組は30万~100万円程度の低予算番組しか作れないということになる。
今はまだネット放送よりTVを見る人が圧倒的に多いことは疑いの余地はない。
逆転とまではいかなくとも、ネット放送でも利益がでる収益体制を出さないと、糞味噌番組しかないと
思われたらネット放送の未来はない。

ニコ生の有料番組で割と有料会員が多い放送を見ている限り、月売上は30~50万円が中心だ。
ここからドワンゴに3割取られて手元には21~35万円。ここから更に出演者、製作者にギャラが
払われるわけだから、月4本あったとしたら、製作費1回分=5~8万円に抑えないといけなくなる。
出演者のギャラは固定なので、最低でも1人1回につき2万は払わないと出てくれないだろう。
そうすると製作側は3万以下に抑える必要があり、スタッフ数は1~2名が限界。
(スタッフは社員なので製作費には含まれないという経理的処理はできるがw)

そもそもネット放送なら、機材さえあればディレクター1人で切り盛りできるレベルではあるが
手厚い運営はできない。
出演者もずっと1人でやらすのは正直厳しいし続かない。
月4回放送だとして、そのうち1~2回はゲストを呼びたいところだ。だからCD発売や
アニメ放送開始など、ギャラをほかから出してもらえる環境を用意できないと厳しいってことになる。
トーク番組レベルなら出演者には最低3~10万は払える環境が欲しい。


ネット放送のネックは、分母の数がまだまだ足らない事だろう。
やはりNHKは別にして民放は完全無償の放送だ。しかも1万円払わずにTV機器は買える。
戸建てならアンテナ受信機に3万くらいかかるが共同住宅ならコードを挿すだけ。
ネット放送は、まず最低でも5万円のパソコンを買って、プロバイダー契約を月3000~払い、
ということをしないと見れない。この差は流石に大きい。


米国のようにNetflixやHulu、Amazonのように億単位で投資するケースもあれば、元SMAPを除いて
通常番組は極低予算の番組を続けているニコ生やAbemaなどとは比較することはできない。
日本の場合、基本はCGM、コンシューマー主導型の無予算番組を中心に扱っている。
ニコ生は月500円+税の有料会員制を今後も続けていくと思うが、対するAbemaは完全無償放送としている。
この差はどういう影響がでてくるのかがまだ分からない。何故なら減りはしているがまだニコ動の方が
会員数は多いからだ。
収益体制は、ドワンゴは会員制を敷いている上にニコ生はページ内広告を、ニコ動で開始前に広告を付けるなどをしている。
AbemaはインラインでTV広告型の番組の間にCMを流すタイプで収益を上げている。しかし少なくとも2017年期は赤字確実。今後どういう形で収益を、利益を上げて、サクセスビジネスにしていくのか?

ドワンゴがニコ動を始めて10年になる。
サイバーエージェントドワンゴと同じく動画配信サイトを運営していたが、ニコ動のように何かを作っていこうというのではなく単純に投稿動画の配信のみだった。
その後、Twitchが注目されるようになり自主放送で広告収入で億単位を稼ぐ人まで出てきた。


既存のTV番組制作会社を使いながらも、独自性のあるコンテンツを作ることをどうすればいいのか。
亀田もSMAPも元々はTVのコンテンツだったのだから。

そしてどうやって収益をあげていくのか。
いつまでも赤字では話にならない。




https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171119-00000016-asahi-soci