クリエイターとメーカー側は、一度離れるべき。

正直驚いた。
テクモ社長から罵倒されたり、貶めるような行為があったのであれば、それは
十分不当な扱いと断じる事が出来る。

しかし疑問もある。
板垣氏ほどのスキルもキャリアもある方が、いままでどうして社外に出ようと
しなかったのか。
声明文に、退社しておきながら、マスコミ各社に出した声明文にはテクモの社
名を入れ、TeamNinjaの部長職名も明記している。これも不思議な話だ。

もし俺なら社名や役職名など入れない。それはキッパリ会社と縁を切ったのだ
から、名前を入れる必要は無いからだ。頼まれても入れたくない。なのに板垣
氏は、依願退職したにも拘らず社名、役職名を入れている。


(本当に「Dead Or Alive4」の報奨金未払いが原因なのか?)

実はもっとも疑問に思う点が、これだ。
板垣氏の書き方だと「Dead Or Alive4」(以下DOA4)という製品に対してのみ、
報奨金が出してもらえなかったように捉える事が出来るが、この1件だけで会
社側、社長が強行、傲慢な態度に出てきた、とは考えづらい。

一方会社側は、未払いとするなら、板垣氏に対して説明責任はある。
その上で、報奨金を減額して支払うなどの対応はできたはず。しかしそういう
態度も示さずに、一方的に退社勧告をしているというのは、おかしいし、一方
的すぎる。
板垣氏の声明文には、その点は一切書かれていない。


(クリエイティブをする人にとって、社内開発はデメリット。)

板垣氏は「合意した」としているが、たぶん会社側と明示的な書面でのやり取
りはしてないと思われる。
それは会社(企業)は自社の社員においては社員としか見ておらず、共同作業
においてのものであり、著作権などは会社側にある。と言う判断、考え方が根
底にあるからだと思う。

しかしクリエイターにとって、それは血汗たらしながら出したものであって、
それ相応の評価を欲するのは人情だろう。

芸能人なら、プロダクションとレコード会社などとの個別契約になるため、出
来高払いかを選択した場合は、売れた枚数分の収入を得られる。


(ゲーム業界、クリエイターの立場をどう考えるのか)

いままで日本のゲーム業界が怠ってきたことがある。それはクリエイターに対
する環境づくり、育成、著作権などの権利を認めること・・・などだ。


以前、青色ダイオードの報奨金と特許引渡しの件で、日亜化学と元社員・中村
氏が6年近く戦った。最後は約8億円を中村氏側に支払う事で落ち着いた。

しかし会社側は「主要の特許権だけでなく、他の特許権や技術が他社に流れる
のを防ぎたかったからだ」とも述べている。既に当時、中村氏は敵対会社に転
職していたため、もし中村氏が求める特許を譲渡すれば、関連する特許に中村
氏が連名に記されているため、ごっそり持っていかれる可能性があると、考え
たからのようだ。


青色ダイオードの一件以外にも、何件か工業製品に関する報奨金、特許権につ
いての係争があっている。

話は違うが、最近雇用自由化について論じる人が増えているが、もし自由化に
した場合、工業製品に関する特許権や報奨金が、一気に跳ね上がる可能性も予
想される。なので雇用自由化は、出来ない人を会社都合で切れるメリットがあ
るが、他方ではデキる人は、自分の報酬が悪ければ、どんどん上位会社に流出
されてしまう可能性も秘めていると、俺は思う。


やはりクリエイターを社員として社内で扱うのは、限界だと思う。
月100万円もらっていても、自分が監督した作品で売上げが何億、何十億と
もなれば、相応の対価というのを考えてしまう。

クリエイターは別枠と言う考え方にして、製品毎に個別契約した方が良いと思
う。
その代わりクリエイターは、製作に関する全責任を負うようにする。失敗すれ
ば次回作への予算削減され、成功すれば相応の利益分配をするという形にした
ほうが、俺はよいのではないか?と思う。



板垣伴信氏、テクモを退社。未払い報酬および慰謝料を請求して同社を提訴
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080603-00000056-zdn_g-game