撮影監督のしごと。課題と取り組み

[ 「 撮影監督トーク 泉津井陽一・脇顯太朗」 – LOFT PROJECT SCHEDULE ]
( https://www.loft-prj.co.jp/schedule/plusone/172627 )

 

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良いトークセッションだった。

55歳と35歳はそれぞれの経験を踏まえ課題にどう対処し、どう生きてきて、どういった課題があるのかをちゃんと見据えているんだなあというのが片鱗だが見聞きできてよかった。

 

その中で脇氏の猪突猛進ぶりは凄いと感じたが、自分の命題として自身の監督作を持ちたいという夢を語ってられた。しかしアニメ1本または1シーズン作るのに幾らかかり、どれだけの人が必要で、メディアミックスはどうするのか、興行収入は?という課題もさることながら、そこには配給会社、スポンサーなど多くのハードルを越えられそうなのか。越えるために何が必要なのかをクリアできる出来ない関わらずイメージできているのだろうか。という疑問はあった。

後進者(新入社員)に手を焼いている話をされていたが、入社させた以上は責任を持つしかない。それはアルバイトであっても派遣社員であっても同じ。

1カ月は様子を見て難易度の低い仕事から与えてどこまで出来るのか。それで2カ月目に応用力や習得度を見て、結果を上長に伝えて今後を計画する。というのが俺の考え方。その時にどうしようもないとなれば転属させる、契約を終了するしかない。つまり見放してしまう。何故なら自分の負荷がデカすぎで本業に支障をきたすから。

もう1つはベビーシッターする。あやすこと、食事、下のお世話まで。みっちりとした教育、管理を徹底する。

この2パターンしかないと俺は思っている。
10年前は新人だったけど今は撮影監督もやってる立場で先輩や上長の立場になってられると思うが、日常の仕事の負荷が高すぎて教育の時間とか全然ない!というのなら、もうそれは入社試験のときみっちり試験やるしかない気がする。
単に将来の展望がない、覇気がないというところだけなら、そこは完全に諦める。その上でせめて頼んだ仕事だけでも納期までに要件を満たしたものを納品できるようになってもらう。そこに注力するしかない。
だから割り切るしかないし、上長に相談して会社判断を乞うしかない。
彼は出来ない人なので仕事の難易度に5段階あるとしたらEランク仕事しか与えられない。定時出社定時退社してもらう。私がすべき作業が増え残業も増えるがはみ出る部分は外注させてもらうがそれでもいいか?と会社と交渉するしかない。
「いやいや俺わかんねーよ!」
と愚痴発狂されるかもしれないが、そこは撮影の監督とは言え人の上に立つ立場なら何らかの方法を見出すしかない。自分なりのでいいので。

 

トーク中、単語単位だがAfterEffectsの話が出ていたし、泉津井氏からOpenToonzが何度か上がった。

先にOpenToonzの話をすると、元々は1993年にSoftimage社が開発した2Dアニメ制作ツール。(Softimage社は後にMSに買収される)
その後2016年にver7.0ベースがOSS製品としてドワンゴが。商用向け製品をDigital Video社が450ユーロ(約6万円・売切り)で販売している。国内ではジブリ作品で登用されているツールだがWikipediaの記事を見る限り導入事例はそれほど多くないと感じた。ジブリで使われているとはいえ学習コストや結局有償版を導入せざるを得なくなる事情があるからではないかと思うが。


もう一方、AfterEffect(アドビ)。
1993年にthe Company of Science and Art社が開発した動画効果編集ツール。後にAdobeにより買収されver3.0からAdobe製品になっている。2021年現在、ver18。
調べきれてないが確かパッケージ品の頃は10~15万円ほどしていた製品だった。
現在はCC版しかなく、月払が3,828円、年契約月払い2,728円、年契約年払い32,736円。
(全アプリ入りのCCコンプリート版は年契約月払い6248円、同年払い52,536円)

現場プロが使うツールなので何でもできるが出来過ぎて何していいのか分からないところがある。高スペックPCを求められるので0から始める人は金銭面でも辛いはず。
改めてAEのニーズが高いのだなと感じさせられた。

エフェクトの学習ってどうすればいいんだろう。
と考えたとき、日頃から映像作品(実写でもアニメでもなんでもいい)を新旧問わず見まくる以外にあるとすれば、日常の生活から自分の好き嫌いを見つけておくことが大事かなあと思う。家でゲーム三昧アニメ三昧もいいけど、海に行ったり山に行ったり日常見ない景色を見て自分なりの感動の記憶を積み重ねておくことかなと。

技術的なところは何もAE使わなくともフリー動画編集ツールを使うことで事前訓練みたいなことは出来る。よく使われるのが「AviUtl」「Lightworks(無料版)」などがある。こういったもので編集ってどうするんだろう?みたいなことを慣れておくと良いかもしれない。
ただ職場で使うツールはどれも高額で、プラグインも個人では買えないものばかり。なので実際の使い方や独自エフェクト作成については会社に入ってから仕事しながら学ぶしかない。そして会社が学習コストをどう考えてるか次第だと思う。

 

作品を仕上げるにあたり、素(レア)の映像をどう商品化させるか。

編集次第で視聴者の印象をどうにでもできる要のところだし、前工程への影響もあるなら綿密な打ち合わせ、意識合わせは絶えずやっておかないといけないと思う。
今はYoutubeでAEの使い方講座の動画が山のように見れるので、どうやればいいのかとか、どういう表現方法があるのかを座学的に知って集積しておく。
フリーツール使って、iPhoneandroidスマホのカメラで撮影した動画を編集したりして自分の作品をいくつか作る。そして持ち込んでみてもらって評価をもらったりするとかさ。

 

話戻す。

脇氏のような方は凄くレアな方だと思うし、泉津井氏は何年もトップ集団のジブリで働いていた方。ちょっと見ている次元が俺とは違うんだろうなあと思った。

ここから得られるものが無いわけではないが、雰囲気というか彼らの呼吸を感じられたらそれだけで十分じゃないかな。と思った。