高くても「安心」と「満足」を買う。

高くても。と言いかたを、どう捉えるだろうか。


高いというのは、自分本位で言えば「リスク」だと考える。
安ければ安いほどいいし、無料だと言えば競ってでも欲しいと思う。でもそれが何千円、何万円・・・と言われると、そこでようやくモノの価値を考える。そして自分の価値観と見合ってなければ、買わない。合えば買う。

俺が見た日本人の傾向として、非常に語弊ある言い方になるが、より貧乏な人ほど、より富裕層なほど価値観が極端。中流層で産まれ育ってきた人ほど価値観をよく考えている印象がある。

今の時代はどうか。遥かに中流層が多くなり、また中流層の中で育ってきた人が増えてきた。
俗に貧乏と言われる貧困層と富裕層の違いは、前者は本当にお金が無い世帯だが、後者は資金が豊富にある。この2者の違いは、後者は高級感、他人との差別性、レア性、安全性が高いものには、上限を決めずに購入する向きがある点だ。


ここ数年、特に顕著なのが生鮮食料品だが、家電でもそうだが「日本製」と謳った商品を優先に買う人が増えていることがある。
人生、命においても、下記に掲げる「クローズアップ現代 ある少女の選択」で放送されたように、寿命の長さより「生き甲斐」「充足度」を求めるケースも増えている。全てそうではないが、尊厳死という形が増えて来ている実情がある。

確かに現実は甘くは無い。なぜなら民主主義であると共に資本主義と自由経済主義があるからだ。
一部を除いて戦争は無くなった。しかし経済上の戦争は更に増しており、それが雇用低下、低迷が続いている要因になっている。
上記で挙げた「生き甲斐」や「充足度」を軸に考えている人にとって、この雇用低迷は直面的に受ける。
多くの人からは、自己満足を優先にするのだから、と冷ややかに見るだろう。自己満足であってもそれによって他人に迷惑をかけているわけではない。その人の生き方でしかない。生き方は十分自負していい。
だけど現実は、自分を待ってはくれない。という現実がある。

即ち。「安心」や「満足」を、お金や世間体というリスクを負っても得たいという、モノに対する評価がこれまでと全く違ってきていることを指すと言える。そしてそういう人が次第に増えているという現実だ。

リスクを負うということは、モノを正しく評価しようと動きでもある。 実はこれが本当の民主主義ではないかと思うのだ。
まだまだ一部の人たちではあるが、いままで米国から享受していたモノ、考え方、価値観を、自らの手で作り得ようとする方向性を日本人が持ち始めたという証しでもある。


どう生きるか。それは人それぞれだが。



NHK クローズアップ現代 ある少女の選択(2010年12月 8日(水)放送)
<http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=2977>
NHKオンデマンド クローズアップ現代 (105円(税込) 視聴期間:購入後1日 購入期限:2010年12月22日)
<https://www.nhk-ondemand.jp/program/P200800010100000/#/0/0/>