日本のアニメ業界と超低賃金アニメーターは

カラーのTVアニメが日本で放映されたのが1958年。それから子として60年が経つ。
アニメにCGを取り入れ始めたのは、1983年のゴルゴ13で、35年が経つ。
1997年にはセルアニメのセル製造大手が製造終了し、3DCGではないが基本PCでの製作に移っていった。
2018年の今では、フル3DCGのものも珍しくなくなっており、けものフレンズはその代表作の1つになった。
たぶん2020年、2030年になればより3DCGやモーションなどのフルプログラム化が進んでいくだろうと思う。

しかし結論をいうと、2年後も、10年後も、20年後も、30年後も、今と大して変わらない。


最近は年に数回はアニメーターの超低賃金と、アニメ制作会社のブラック企業さがネットを中心に
話題になっているが、20年後の2038年には待遇が良くなっているか?というと、今と変わらず一緒。

そう感じたのはベテランのアニメーター監督、脚本家の話を聞く機会があったのだが、消極的な人しか
いなかったからなのかもしれないが、待遇是正に乗り気な人は誰一人といなかった。


パラダイムシフトを期待しているというと語弊があるのだが、作画は1980年代に故・金田伊功氏が
俗にいう金田パースを世に出してから大きなものは無いが、製作進行から作画、編集・・いろんなところで
日々進化、効率化は進んでいるんだろうけど、労働環境での進化、向上は無い。
労働環境は、技術の向上によって解消されるものではなく全くもって政治的な意図が根深いからだ。

経営側は自分たちの利権を絶対に落としたくないと考えているはずだ。
先ごろJR東の労組がストを取り下げたが、取下げた原因は組員へのネゴシエーション不足や
情報共有不足だが、低遇されているなら労働者たちが組合作ってストをやればいいがそういう動きは
過去にもない。(小さいストはあってるのかもしれないが)
これに対して、ベテランの方がバッサリと「組合が作られることは決してない。それはお互いが水と油すぎるから」と同じ釜の飯を食っている関係でも組んでやろうという気がおこらない、組んでも議論ではなく喧嘩になって
終わってしまって解散になる可能性の方が遥かに高いから、ということのようだ。
じゃあ何で組合がある企業があるのか?って言いたくもなるが。
そのベテランの方は、もし仮に組合が作られたなら業界は終わってしまうだろうとまで言っていた。


先に触れたようにアニメのCG化、3CG化は来るべくして来たものであり、けものフレンズのように
フル3DCG化で少しでも効率化を図ろうという動きは絶えないだろう。
しかし労働環境、待遇が改善される見込みはなく、むしろ給与面はより下がる可能性もあるという
印象を話を聞いてて感じた。

なので少なくとも向こう20年は現状維持で労働環境や賃金が向上することはない。
そう感じた。


あとNetflixがアニメへの出資に意欲的だ、日本に比べ2倍3倍の資金を出しているという話は
局所的な情報だけで書いたもので実質日本のそれと何ら変わりがない、と話されていた。
なので製作側にとってみれば仕事が増えるかも程度であって、それ以上の期待はできないという
ことのようだ。


ハリウッドの1分間分で日本の1クール分が作れる、って言われたときは大うけしてしまった。
じゃあなぜ100本分の予算を取れないのか。
ハリウッド版アキラが作られると決まってから数年経っているが、そのハリウッド版は当初100億だった
ものが60億まで予算カットされたという噂を聞いたことがある。つまりそんなに売れないと経営陣に
判断されてしまったってことだ。
あの宮崎駿の作品ですら10億そこらの予算というのだがから、もうどうしようもない、一人でどうこうできる
話ではない。それが日本アニメの現実だし、現状維持することが精一杯でいろんな面、特に人の面が
改善されることはない。