宇宙ビジネス、早期にルール作りすべき

宇宙にロケットを飛ばせる能力を自国でもつのは、先進国、新興国だけで20国程度だろうか。
新興国とは中華も含まれている。ということは、いずれ価格競争になるのは見えており、価格面で
日本が負けることも見えている。
特に家電とITが中華に大負けした。
日本側が社員を大事にせず、自社の利益を最優先にしていたことも理由ではあるが。

ロケットラボ社のエレクトロンは、最大積載衛星が225キロ、費用は7億円弱。
JAXAIHI社のイプシロンは、最大積載衛星590キロ、費用は45億円ほど。
イプシロンが打ち上げられる衛星の最大積載は倍以上だが、費用は6倍以上だ。

CPUやGPUというIT製品の部品が超高機能、低価格になり、いまは実体がわからないまま
IoTというのが世間を騒がしているが、これらも結局は韓国や中華、台湾で作られているからこその
低価格を実現できている。

いままでは衛星を打ち上げるなど慈善事業にほかならなかった。
衛星が高機能で小型化し低価格化したからこそ始まるビジネスだ。
しかしビジネスは重力に導かれるように価格は高いところから低いところへ下り、
人も河口に集まる。モラル違反と言われようが、それが今の世界にあるビジネスだ。
慈善事業は事業と冠されるがビジネスではないのだ。


恐れていることが1つある。
ロケットを打ち上げられる技術を確実に持とうとしている国が1つ増えそうだ。北朝鮮だ。
日本ではブラック企業が毎年取り上げられネットでは血祭りにあげられ、多くの国民は
正義を高らかに謳っている。しかし北朝鮮は国もろともブラックだ。そこには通貨などなく
生きたければ手足が折れてでも働けだ。
もし北朝鮮が防衛や先進国への脅迫として使うことを捨て、原爆技術を完全に捨てると
約束したとしよう。でもミサイル技術を転用しロケット開発、ロケットビジネスに入ったらどうだろうか。
中華企業を滅ぼせるほどの超低価格ロケットを売り出せる、唯一の国になる。

彼らにこれだけの発想の転換力があるとは思えないが、もしロケットや宇宙産業が
本当に数十兆円規模のビジネスワールドになったとしたら、北朝鮮がトップ1に躍り出ることが
できるようになる可能性はある。


北朝鮮は飛躍した話でしかない。しかし上述のように低廉化しコモディティ化できたものが勝者である
ことは過去の教えであることに疑いの余地はない。
どこまで衛星ビジネスが広がるのか、車や家電やIT製品のように巨大規模になれるかはまだ分からない。
当座はアメリカや日本が今は天下でも、将来は中華らに取られることは目に見えている。


重要なのは、どこに価値を見出すかだ。
それが低廉製品だと思うなら、来た道を戻るだけにしかならない。


【追記】
と書いた後のニュースで知ったのだが、JAXAISASIHI+キャノン+清水建設の合同で
SS-520」という超小型ロケットをさっき打ち上げ成功したようだ。
今回は5号機だが、前の4号機は失敗している。ともに実証実験段階という位置づけのようなので
ベータ版レベルということなのだろう。

搭載衛星の最大積載重量は140キロ、費用は5億円ということ。
米のエレクトロンの6割程度の積載量で5億円は、これでは買い手は少ないかもしれない。
Wikipedia記事の限りだとエレクトロンは最大500キロまで搭載できるとあるので、上記225キロは
誤りになるが、まだ調べ切れていない)

当分は日米合戦、そこにEUやイギリス、中華が参入してくる可能性があるので、いずれにしても
政府や行政がしっかり後ろ盾して民間もしっかりしないと、俺の心配が当たってしまうことになるだろう。




[宇宙ビジネス加速へ、米ベンチャーが超小型ロケットの打上げに成功(1) その名は「エレクトロン」 - 最新技術を結集した新世代ロケット | マイナビニュース]
(https://news.mynavi.jp/article/electron-1/)

[1回30億円なり 新型ロケット「イプシロン」が開く宇宙ビジネス  :日本経済新聞]
(https://www.nikkei.com/article/DGXNASDD160C7_W3A810C1000000/)

[世界最小級ロケット打ち上げ成功、衛星投入 JAXA  :日本経済新聞]
(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26509450T00C18A2000000/)