これからのネット放送・配信

Wikipedia情報では、現在世界にあるネット配信放送は、無償版が128、有償版は53ある。
(ニコ生のように無償、有償が混在しているものもあるので単純に足せないが、全世界で181あることになる)
これにポルノが9社あるので、190ということになる。(単純計算で)

日本国内は政府系も含めて36局ある。

サイバーエージェントは2017年度通期連結決算でabemaTVが209億円の赤字と発表。
しかし2018年の今年も投資を続行する旨を発表している。
またシステム面で拡充できなかったドワンゴは、創業者の川上氏がKADOKAWA会長を辞任し
ドワンゴのCTOのみ残留することを発表。
2017年は表裏がはっきりした年ではないかと俺は思う。


よくネット放送はTVを超える?という記事を見かけるが、俺個人が思うに、ネット放送がTVを超える日は
今後も来ないと思っている。
ビデオリサーチ社が公表している資料の限りでは、視聴率1%は40万人。
これが大袈裟で盛っている数だとして1/4に減らしたところで、1%は10万人である。

2017年はabemaTV「72時間ホンネテレビ」が世間や業界を騒がせた。
一方で視聴者数の統計方法に問題が露呈し、今後に大きな課題を残してしまった。
視聴者数の正確なカウント方法が今まで確立されてなかったことは恥と思うべきだ。

サイバーエージェント藤田氏は株主会でホンネテレビのTV視聴率換算で「5%」と述べたようだ。
これは前述の1%40万人という換算値を参考にして、200万÷40万をしたことがわかる。
5%台は、一部の音楽番組、アニメ番組レベル。ドラマ、報道系、バラエティ、スポーツ番組に及ばない。
2017年のフジ27時間TVは12.7%で、ホンネテレビはこの半分以下しか叩き出せなかったことになる。


個人的に最近会った方、それも20台後半前後の方から「わたしはTV子で」という言葉を聞いた。
今の若い人はLINEに夢中な人しかいないと思っていたが、そうじゃない人もいるということだ。
つまり、確かにLINEなどSNSに傾倒してる人は少なくはないが、一方でTVを見ている人は
それほど減ってはいないということではないのか? と俺は感じている。

ネット放送の問題点は、
スマホで見るには画面が小さすぎて見づらい
・番組切り替えなど使い勝手が悪い
・通信データ量が大きく、スマホだと月末にデータ量制限がかかってしまう(無制限ではないこと)
・番組が有料であることが多い
・見たくないのにユーザーコメントが流れてくる
などなど

CMがなく番組を一気に最後まで見れるのはTVにない利点だと思っているが、
それだけだとやはり客がこれ以上増えることは無いように感じる。

また広告主からするとネットはピンポイントで広告を打つのには効果的だが、できるだけ多くの人に
知ってもらいたい場合には不十分過ぎる。と感じられていることがあると思う。
事実、ネットがコモディティ化した2005年ごろには一部の企業がTVCMを大幅にカットして
年5億円以上を経費削減した例もあった。しかしその後ネットの効果は限定的であり、前述のように
大多数に告知したい場合はTVは捨てがたいという話になった。それからいままでネットがTVを
超えるような事例は無い。


最初の話題に戻る。
低く見積もってもTV視聴率1%=10万人という話をした。
実際ニコ生でも1時間10万人(累計)を超えるものはたまにあるが、たまにでしかない。
TV視聴率で5%、10%になるようなネット放送をするには、元SMAP4人を使っても叩き出せない。
しかもホンネテレビは製作費に10億かけたという噂があり、費用対効果であまりに悪すぎる。

それでも藤田社長は賭けるだけの価値があると考えて2018年も投資続行を表明している。

費用対効果を出す=利益を出すことは企業を経営しているものにとって永久の課題で責務、責任だ。
ではどうやって利益を出すのか。
個別番組ごとに有料化するといっても客が集まること前提ってことになる。
衛星放送のように全体をパッケージ化して月極化しても同じことになる。
そうなると結局、スポンサー(出資者)やCM出稿社を集めるしかなくなる。
つまりネット放送番組の製作も、結局はTV局のようにスポンサーに忖度なにしは出来ないってことになる。
こうならない為にはどうすれば良いのか。

ホンネテレビにサイバーエージェント(自社)以外のスポンサーが付いてたかどうかは知らないが、
なかったとすれば1社スポンサー。これでは赤字から脱却できないのは目に見えている。

やはり番組は製作者の意図のみが反映できるようにしつつ、製作費の回収と利益を上げる
システムを作るしかない。

主演者のギャラは一人20万円として5名で100万、製作スタッフは一人10万として10名で100万で
1放送に合計200万円は最低でもかかる。
月4放送なら月1000万円だが、放送料、著作権料、その他の経費を含めれば+300万くらいかかると
思った方がいい。ならば月4放送で1300万円である。
これを月極視聴料=500円とすれば、28,000人のユーザーが加入してくれないとペイできないことになる。

ニコ生にある個別番組のの有料放送では多いところでも3000程度で、大半は1000~1500くらいの印象だ。
ということは殆どの番組でペイすらできてないことになり、3000いたとしてもペイするには月極4700円は
取る必要がでてくる。
実際のニコ生にある有料放送は、出演者2名、スタッフ3名体制か、これ以下の場合が殆ど。だから
2x20+3x10=70万/1放送、月4放送で280万+諸費=約400万前後と思われる。
それでも会員3000でも月極1400円にしないとペイできない。
更に言えば殆どの有料番組は毎月250万円の赤字にあるといえる。

しかしそういう番組が多い中、利益を上げているものもある。
ニコ生で人気なのはMSSPというグループで、もともとは素人バンドの集まりだった。
先日1./5の会員限定放送の累計来場者=2万3126。
有料放送でも最初の15分は無料開放している場合があるので全員が有料会員ということはないが
それでも1万が会員だったとしたら月500万円の売上になる。
しかもMSSPの放送は基本MSSPメンバーだけの場合が多いので相応の稼ぎになる。


で。
俺個人的な解決法は、ECと併用・平行してやる。いやそれしかないと思っている。
ECとはネット通販のことである。

よくアーティストのコンサートは、コンサート本体ではなく物販で利益が出るという話がある。
もちろん東京ドームやSSAのような万人が入る会場でやるコンサートは違うと思うが、大半は
物販やらないと利益を得られない。

ニコ生で画面下にAmazonなどのネット通販リンクを掲げることができるが、あまり利益にならないのは
アフィリエイト料しか得られないからだ。

例えば「まりえってぃ、るるきゃんの『ゲームは1日◯時間!』」という番組があるが、ここではパーカーを
売っている。売っているのだが番組中を含めてガツガツ売ろうとしているものではないが、1つの試みで
やっている感じ。

俺はこれを大々的にやることで物販(EC)で売上げを上げることで利益を出す形にするのが
ネット放送で収益を上げる手だと思うし、それ以外にないのでは?と思っている。

たぶん「まる時間」も有料会員数は2000くらいなので、視聴料だけではペイできていないと思われる。
放送主はYOUDEALだが、スポンサーにSE企業2社を持つ。そのため視聴料でペイできなかった分は
スポンサー料で賄っているのだと思われる。


番組とECを平行でやれと言うとショップチャンネルを思い浮かべるが、そういうわけではない。
あくまでコンサートの物販屋台のような扱いに留めるということ。
やったとして利益が出来るかどうかは分からないが、やってみる価値はあると思っている。


いずれにしても現行のやり方、システムで続けていてはダメだということは自明。
いろいろ現場では試行錯誤していると思うが、利益を出せるシステムをいち早く構築する
必要があることは間違いない。


[AbemaTVは209億円の赤字も「'18年度はもっとコストを使い、売上を増やす」 - AV Watch]
(https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1088417.html)