どうして契約制にして水準未満は契約更新をしない形にしないのか

アニメーターは完全出来高払い制。
動画は1枚150~300円という単価制。
原画だと1カット2000~3000円(1枚あたり50円くらい)と言われている。

例えば月15万の収入を得ようとすれば、単価150円の場合だと月1000枚は描く必要がある。
これは月20日稼働の場合、1日に50枚、8時間勤務だと1時間に最低でも6枚、10分に1枚は
仕上げないと達成できない金額だ。月20万稼ごうとすれば3割以上増しに頑張る必要がある。


で、昔からアニメーターは製作会社との関係は個人事業主契約である。
ならばアニメ制作会社とは「契約社員」的な契約関係であるはずだ。
それであれば3か月なり6か月単位の契約をするのだろうが、どうして水準に達しない人の
契約を更新してしまうのだろうか?

昔、代々木アニメーション学院の説明会に行ったことがある。
そこで現役の美術系だったと思うが監督歴のある方がしつこいように言ってたのが
「やってみるのはいいが、続けられるかどうかは早め早めにキリを付けて欲しい」
と言っていた。つまりダメだと思ったら早めに辞めて欲しいと言っていたわけだ。

やはり自立できる月給与は最低でも15万、できれば20万は欲しいところ。
それに達してないとなると職を変えないと相当辛いと思う。
この認識はアニメ制作会社側もあると思われるが、水準未満の人の契約を更新してしまっている
のが現状なのではないだろうか。

毎年1回は、アニメ製作会社側か支援団体が収入について相談を行うべきだ。

あなたの業務成績は月間50枚程度なので月収でxx万円、年収だとxxx万円になる。
これだと生活が苦しいばかりになるので、転属するか別の職に進んではどうか?
という生活相談を含めたものを行うべきだということ。

個人事業主だからスキルアップや収入・生活のことも「丸投げ」しているのが、アニメ業界の
凄惨さを印象付けてしまっている要因の1つだ。

また政府・行政がアニメ・漫画に関する施設を作ると言う話が出てきている。
なぜ毎回毎回「箱もの(建物)」の話しか出てこないのか不思議でたまらないが
こういった側面を見ても行政サイドに本当の理解者がいないのは痛い。

2016年5月に庵野秀明氏が「もって5年」と持論を展開しているが、アニメ製作会社の倒産が
目立つようになるのは2020年を過ぎたあたりからだと思われる。


根本的にアニメ・マンガはエンターテイメント、娯楽業であること。
60分作品でDVDなら1枚5000円、BDなら1枚7500円くらいが相場だと思う。
これが最低でも5000枚(2500万円以上)は売れてくれないとペイできない。
2500万円といっても経費に3割は持っていかれるので手元には1750万しか入らない。
60分作品の製作に3か月かかったとしてひと月583万円以内に収めないといけない。
延べ50名のスタッフが関わったとした場合一人当たり日額11.6万円という計算になるが
当然機材費やその他の経費もかかるのでこの半分以下5万円以下に収めないといけない。
1/3なら3万円が、1/4なら2万円が上限になる。
仮に1万円と計算してもアニメーターの給与は20万円は超えることは可能であるのに
実際は実現できてないアニメーターが多い。
もちろん5000枚売れたという前提で話しているので実際は2000枚や1000枚しか売れない
ケースもあるだろうから、そうなると完全に大赤字だしアニメーターに月5万も払えない。

これらもろもろを考えると、どうもアニメ製作会社の企業運営が間違った方向にあるのでは?
という疑問を持つ。


もう1つ。
アニメ制作のCG化はほぼ終わっているのだが、いわゆる3DCG化はまだまだだと言うことだ。
3DCGになることで人手が減ってもやっていけるわけではないが、アニメ製作側で常に悩み
であった人によっての品質の差が大幅に減る。
これまでのアニメーター給与に差が出ていた理由は「人によっての品質差」があったからだと
俺は思っていて、それが3DCG化によって大幅に減ることが期待できる。
時給単価あたりの仕事時間数が人によってまちまちだった現状を変えられる、つまり残業しまくって
給料10万ではなく、8時間勤務で10万というレベルになっていく可能性が高い。実はこの差は非常に
大きい動きだと思う。
ただそれにはCGアニメーターが3DCGを理解するスキルが必要であることと、その学習のために
かなり大きな費用がかかってしまう点だ。
3DCGツールはソフトによるがMaya、3dsMaxは、年24万円から。とても個人では負担できない金額。
フリー版もあるのでそれで勉強することもできるし、無償ソフトBlenderもあるので大金がないとダメという
わけではないが、パソコン購入費も考えるとなかなか難しい。


アニメ製作・制作会社に対しては、
・海外向け作品の充実
・海外での販売の強化
はもちろんのこと
・製作スタイルの高効率化
・アニメーター採用基準の見直し
・アニメーターら製作製造者へのケア

これら課題をクリアしないと発展どころか維持もできなくなる。

Twitterで惨状を告白した方だけの問題ではない、ということを正しく理解し
アドバイスし、マネジメントできるかどうかだ。


ちなみに庵野氏はマスコミに聞かれて5年と答えただけだと思うが、
ただ崩壊するのを指咥えて待っているのではなく、どうすれば改善できるのか?
を考えて実行すべきだ。

マスコミ側も、ただどうですか?という小学生以下の質問ばかりしているのも
アニメ業界を叩きのめしたいだけにしか聞こえない。
現状をどう捉えているのか?
現状になった原因はどこにあると思うのか?
いま抱えている課題はどういったことか?
その課題はどうやって解決していきたいと考えているのか?
解決には何が足らないのか?足らないものをどう補っていこうと考えているのか?
を聞いてやっとジャーナリストとしての役目の基本を満足できる。


もう俺は両方とも解決するために動こうとはもはや思っていなくて
破たんすることを待ち望んでさえいるのが現状だとしか思えない。



富山のアニメスタジオ・PAワークスで働いてる動画の女性が悲惨、ツイッターで愚痴りまくり!! 「動画3年目になると月6000円席代として会社に支払うの草」 | やらおん!
<http://yaraon-blog.com/archives/94413>


「アニメの原画マンのギャラ、1枚3000~4000円」というデタラメ
<http://anond.hatelabo.jp/20130823171758>

エヴァンゲリオン」の監督、 日本アニメの寿命はあと5年か
<https://jp.sputniknews.com/japan/20150523369080/#ixzz3ayMUzWde>