東方PJとZUN氏と著作権とTPP

初めて本人ZUN氏を見たが、東方projectを作るような人物には見えなかった (失礼w)

最後に現場参加者の質問で
質問者A「二次創作で小説を書いている。原作を読んでて二次創作する上で設定に困ることがある」
ZUN氏らパネリスト「二次創作なので、もっと自由でいいと思う」

質問者B「二次創作に関して凄く寛容だが何故か?」
ZUN氏らパネリスト「今なら違うが、当時は二次創作に至るということを想定してなかった。」

質問者C「一般的な商用作品として出さないのは?」
ZUN氏「購入者はZUNが作った作品であることを意識していない。でも同人などの二次創作作品においてはZUNの作品であることを意識してくれる」

上記はあくまで俺の印象ベースで書いているので、ご寛容にw


TPPの隅々まで知り尽くしているわけじゃないが、TPPによって二次創作が大きく制限される又は禁止されるのではないか?萎縮した世界になってしまうんじゃないか?という善からぬ噂というか、ネガティブな話が最近多くはなされている。

「質問者Aの質問」と回答についてだが、
質問者Aさんは原作を忠実に再現しようとしている。つまり原作というリアリティを自分の作品に取り入れたいと思って質問をしたと思う。
しかし。原作者ZUN氏らは、そもそも二次創作なんだから「もっと自由であっていい」と、アレンジこそ二次創作の根幹だと語っていた・・・という印象をもった。
二者の見地は違うのだが、二次創作を始めた時点でオリジナリティなど存在せず、もしあるとすればアレンジした部分にオリジナリティが存在して、オリジナリティこそ価値のあるものだという見かたなのだろうか?と感じた。

さらっと話されているが、これってとても重要なことで、二次創作ってそもそも何?ってところも話さないといけない気がする。二次創作の醍醐味は原作のアレンジなのだから、アレンジのところに注力することに意義があるのであれば、原作設定に忠誠心を出さなくてもいいんじゃないかという意見は、今後の二次創作する人にとっても考えていくべきところなんじゃないかと思う。


「質問者B」の質問について。
ZUN氏は当初のポリシーを貫きたいと述べているのには感心する。
やっぱりここまで大きなものになれば、人間欲の皮が突っ張るものだが、それを敢えて拒否って自由に使っていいですよというのは、なかなか言えないものだ。


「質問者C」の質問について。
自分が産んだものだから自分が育てたい。ということだろうか。
たとえばコナミから出る、アルケミストから出る、5pbから出る。勿論クレジットにはZUN氏の名前が載るわけだが、一般購入者はZUN氏の作品という意識なくコナミの、アルケミストの、5pbの作品という意識しかしてくれないだろうと。
でも同人作品なら、東方projectはZUN氏の作品ということを知った上で、意識して買ったり、読んだり、プレイしてくれるからというのだ。
これはどういうことかと考えると、東方projectをブランドイメージとして育てていくだけではなく、ZUNというブランドも作りたいということなのではないか?と思う。原作者として、そこにインセンティブとしてのメリットを感じれて、作品を作っていくモチベーションになると考えているからではないか?と感じた。

100万回再生された。100万本売れた。100万人ユーザがついた。モチベーションにつながるものは何だっていい。ZUN氏にとってはそれはZUNという名前にネームバリューを持たせられ、ブランドとして確立し、持続していくことだということだと思う。


話が若干戻るが、二次創作だろうが、コナミからリリースされようが、自分の手から一歩でも離れればそれは自分の作品ではない。という考え方は、実はほかの著作者も似たようなことを語っている。
もしかしたら以前このブログでも話していたかもしれないが、たとえば自分の作品が漫画だったとして、それを映画化、TVドラマ化、TVアニメ化・・・されることに対して許可した時点で、もうそれは自分の作品じゃない。だからどう描いてくれてもいいという考え方だ。
確か士郎正宗氏もそんな考え方をしてたように思う。

結局、TV化、映画化されると、プロデューサー、ディレクターが仕切っていく。彼らは原作を忠実に再現しようとしてくれるが、結局のところ出来たものは彼らの「味」になってることが殆どだと思う。だったら割り切って、権利をあげるなら自分は一切口を出さない方がベターだという考え方は、俺もアリだと思う。
(もちろん、あまりにも逸脱した内容にされたら困るし、腹が立つと思うけどw)

つまり。何を「性善説」として見るか?だと思う。
親友AにB子と付き合っていることを話した。翌日、悪友Cにその話が伝わっていたとする。この事態は好ましいことではないが、でも現実に起こったことだ。
だとしたら、自分の口から出た話は周囲には広まっていることを前提として考えればいいことになる。だってその方が合理的だからだ。

合理的に考えた方が、後での処理がスムーズにいく。
ZUN氏がメーカーから出さないのは、彼なりの合理性を考えた上でのことのように俺は感じた。


TPPに関しては今まだ策定中の話であって、日本は立候補したに過ぎない。
TPPに正式加盟したとして、どこまで治外法権を言えるのかもわからない。それもこれから話されていく議題だと思う。
しかし二次創作は悪いというイメージが強いようだが、二次創作があるからこそ新人が育っていくのだと俺は思う。誰もが自分で完全オリジナル作品を作れるとは限らないし、二次創作ができたからこそ技術を高め、ノウハウを蓄積し、場合によっては仕事に結びつけられて生活できるようになったというケースがあるはずだ。
TPPが二次創作を禁止しているのは英米の法律に基づくものだが、でも米英でも同人誌はある。
TPPが二次創作を禁止する思想があるはずで、それを踏まえた上で日本の親告罪というやり方の上で成り立っている今の二次創作を考えていくべきだと思う。何でもかんでも十把一絡げに「TPPは悪」と考えるのは良くはない。プロセスをもって積み重ねて考えていくべきだと思う。


今はインターネットの時代。これは全世界が共有化する時代だと言っていい。

1900年台の時代の考え方は捨てて、新しい価値観を作るべき時なんだと俺は思う。




[参考元]
上海アリス幻樂団 ZUN氏も登壇「『東方Project』が可能にしたもの ―プラットフォームとしての<東方>」 - ニコニコ生放送 < http://live.nicovideo.jp/watch/lv72851558?ref=top >