IT業界繁栄のために登録型が準備された?

サンデープロジェクトの特集は、こんな内容だったように思う。


基本的にイレギュラーは作りたくない。というのが政治家や役所の人の考え方だと思う。

特集後篇は2/8放送分になるが、前篇を見る限りは当時違法と知って他社のSEを社内に
出向させていた経緯があり、それを是正するために登録型派遣を加えて法整備した。とい
うのが当時派遣法に携わった方の意見だったと思う。

いまでこそSEは溢れんばかりにいるが、1985年頃は希少でとても社内で育成していくだ
けの力もなかった。そこに常用型派遣が法整備されることになり、割り込む形で登録型も
加わったようだ。



閑話休題
重層構造(ひ孫請け以上)になった理由は俺は知らない。
が、ニッチ産業に固定される人材は必要なかったがどこかでテンポラリーが必要だった。
それを請けていたのが小零細企業なのだと思う。ある意味これらの会社は常用型派遣会社
だと言えると思う。

プロジェクトの大きさで欲しい人材が違うから、大元請けの企業では最小プロジェクト時
の人材だけ確保していればいい。

たとえば最小プロジェクトは10名で構成できるものする。大プロジェクトでは50名必要な
らば、大プロジェクトの際だけ40名を下請けや派遣会社から受ければいい。

しかし大元請けの1次下請けで40名まるまる補填することはできないため、更に2次請け
に30名依頼する。2次でも受けられないから3次に依頼する。といった展開なんではない
かな?と個人的には思う。

自然発生的に、重層構造になってしまったのではないか。というのが俺なりの理屈だ。



じゃあ派遣をもっと拡大すればいいじゃないか。という意見が出るだろう。
しかし昨今の現実を見てわかるように、派遣には常用型(特定派遣)と登録型(一般派遣)
がある。それ以外に請負などいろんな形態がある。

そのプロジェクトが10カ月ならば、1年の残りの2か月間はその人は仕事つまり収入なく
生活していかなくてはならなくなる。その辺のサポートが一般派遣には無い。
「そんなのスキルあれば次の雇い口なんてすぐ見つかるのが当然だ」
と言うかもしれないが、それは貴方がそうであるのであって、そうでない人もいる。
「そりゃ自分が頑張らなかったせいだろ」
厳しい意見も出るだろう。しかし、だからといって家賃も払えなくなり路頭に迷わすまで追
い詰める必要はない。その人にとって最低限の生活をさせてあげる必要は、俺はあると思う。

じゃあどうするのか。
今の派遣会社が独自でやっている形ではなく、IT業界全体が共有するテンポラリーを組織
し利用するような形にすべきだと、俺は思う。

IT分野は日進月歩だから、人材育成は欠かせない。
パナソニックやCSKなどIT分野企業が関連会社に派遣会社を建てているところもあるが、
業界全体で1つのテンポラリーを持つことで、流動化を保ちつつも一人一人のスキルアップ
を促進することもできるようになると思う。企業同士でアライアンスを持つのと同様に、派
遣においても組織することでメリットは出ると俺は思うのだが。



今盛んに使われている言葉なので毛嫌い感あるが、雇用流動化(自由化)を求めるのは構わ
ない。だが日本人の悪い癖で、メリットの部分だけしか取り入れない。メリットを取り入れ
るがデメリットの部分も受け入れないと、システムとして不完全なものになってしまう。

雇用自由化を受け入れるならば、セイフティーネットをしっかり構築すべきだ。

先例だと2か月間は無収入期間になるのだから、その2か月間は前職場給与の6割負担する
や、無職時の給与はないがその分勤務時の給与は10~30%割増しで受けられるなど。
また無職時の健康保険は正規の1割程度の料金で利用できる、年金の支払いは減免される等。
そういうものが、今はないのではないのだろうか。(あったとしても俺は知らないし、そう
いう告知を聞いたことが無い)



社会全体が成果主義になるのは当然の方向性なのだろう。(俺はそうは思わないが)

話題から外れるが、水俣病訴訟の被告の新日本窒素肥料(現、チッソ株式会社)が証言人が
出てくるまで知らぬ存ぜぬを一貫して原告側と徹底抗戦していたが、今も昔も、企業は自己
利益しか考えてないというのは自明。

頑張れ!努力しないからだ!と派遣切りに遭った人たちを非難する声が多いが、企業がどれ
ほど冷淡冷酷で無責任かという側面を知った上での発言ならわかるが、そうでないのなら、
言えば良いってものではない。



この前も言ったように、今は議論を重ねる時だと言う考えは今も変わってない。
だから方々で意見が噴出していることは、とても意義があることだと俺は思っている。

しかし。派遣切りや雇用自由化などの話をする中で、弾かれてしまった人をどう保護するか
とか、解雇されたがチャンスを与えるということも考えて発言して欲しい。

もし頑張らないから、努力しないから路頭に迷って当然だと本気で思っているのなら、殺人
や傷害などの犯罪者は、全員死刑でも良いっていう話にもなる。(極論だが)
彼らに有期限の刑期を与え、出所後は働けるようにしているのは、悪いことをしても機会を
与えるべきだという人道見地からだ。ならば派遣切りにあるのは違法を犯したわけでないの
だから、もっと機会を与えてしかるべきなのではないのだろうか。と俺は思う。


自分のことで、精一杯。それは分かる。

が、他人の失敗に対して寛容な世界に、もっとなって欲しい気がする。







日本のIT業界はなぜ重層的な階層構造をとっているのか
http://d.hatena.ne.jp/ktdisk/20090201/1233493964

サンデープロジェクトテレビ朝日 - 2009-02-01放送分)
労働問題のスペシャリスト4人が徹底討論
独走追跡 派遣法誕生(前編)~“雇用破壊”の原点はこう作られた~
http://www.tv-asahi.co.jp/sunpro/