高畑勲とは

宮崎駿高畑勲は仲が良かったどうかは分からないが、ほぼ両輪のように付き合ってきていた。と思う。

併映が火垂るの墓だったこともあって興行収入12億弱だったが、トトロが話題になった。
その翌年の魔女の宅急便では単独で36億円を超える記録。
1997年、もののけ姫で初3桁、193億。以降、宮崎作品は3桁を下らない状況になった。
高畑作品は宮崎作品より本数でも少ないものの、15億前後を売り上げていた。

高畑作品が影響を与えた後の作家、演出家は少なくはない。
高畑作品はしっかり人物を表現しつくしていること。微に入り細を穿つ演出手腕は定評がある。

作品としてはしっかりしているものの、見た目がおとなしめなものが多いのが、あまり客寄せできなかった
理由だと、俺個人は思っている。



ここまで書けば気づく人は気付くと思うので直接は触れないでおく。

故人となってしまった高畑氏だが、生前はやっぱりワンマンなところがあったように感じた。
たぶん宮崎氏、鈴木Pとは常に喧嘩仲間だったのでは?と思うところもある。
国内映画としては遺作的になった「かぐや姫」は、製作費52億のところ興行収入25億と、25億もの
赤字を出している。それでも宮崎氏、鈴木Pを含めジブリスタッフは支持していることを思うと、
お金に変えられないものがあったからこそだと思う。

しかし。
いま高畑氏に代わるような人がいないというのもあるが、ある意味25億もの借金を背負ってでも
やってくれる企業が日本にあるだろうか?と思うと、たぶんないだろう。

故・黒澤明も、1990年以降の売上は赤字しかなかった。
1990年「夢」は製作費17億、配給収入3億。
八月の狂詩曲」は、配給収入8.2億。(製作費は非公開)
まあだだよ」は、興行収入17億弱。(製作費は非公開)となっている。おおよそ興行は良くなかったか赤字だったと思われる。

2013年の宮崎駿作品・風立ちぬ興行収入120億だが、鈴木Pはこれでも採算が取れてないと言っている。
製作費は3000億ドル(約40億円)で、興行収入は177億円(13.65億ドル)なので、
どういう意味で鈴木Pが赤字だと言っているのかよく分からない。素人目には少なくとも100億円以上の利益を
生んでいるようにしか見えない。(実は表の製作費と裏の製作費があるとでも?)


まあそんなことはどうでもよく。

色々聞いたことを思い返すと、ゴルゴ13は除いて、ナウシカあたりからPCを導入して
デジタル彩色をして効率化を進めていたのだろうなあというのは感じられた。
ただそれが今で1クール13話の合計製作費が3億円であり、それが苦になり、曳いては
アニメーターの薄給にまで至っているのは、合理化の面ではまだまだなのか、合理化できていても
出資者らが搾取しているがためなのかは、ハッキリと見えなかった。

俺は、製作会社は正規、非正規にかかわらず雇う以上は月給は15~20万円は払うべきだ。というのが主張。
動画を書いても採用されない人は契約期間の満了とともに更新しない、採用しないことをやらない
アニメ業界の風潮がある以上、たぶん悲しい現実は続くと思っている。
これと合わせて、1話あたり動画4000枚(~8000枚)と言われるTVアニメは、いまやデジタル彩色しかない
時代なのだから自動彩色を取り入れて大幅に人員、工数を削減していくべきだ。
しかし俺の目からは少なくとも全くこういったことが進んでいない。

アニメーターが安定した収入を得られるレベルにするには、導入費こそ莫大にかかるかもしれないが
工程の効率化、合理化をもっともっと力を注がないと無理だ。


俺は現場の人間じゃないので、アニメーターの給料が超低賃金のままである理由、
つまり本当のボトルネックがどこにあるのか分からない。
少なくともいえることは、出来ないアニメーターを分かってて採用し続ける悪しき慣例があるということだけだ。

かといってNetflixが日本の悪しき習慣を一蹴してくれるか?というと、彼らは儲かるものしか興味がない
ようなのでこれまた期待外れだと思っている。


やっぱり既得権益に浸っている老害連中がいる限り、たぶん日本のアニメ業界は変わりようがない。
というのが現時点での俺の見方。
だから本当に既存のアニメ業界で働いたこともないような人が、ふとしたことからアニメを作る人になり、
新しいアニメ業界を1から作らなければ、間接的ではあるが業界再編は起こらないだろうなあと思う。



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(https://wakarukoto.com/?p=2485)