日本のIT業界 に対する誤解、に対する反論。

2008年4月末の「朝まで生テレビ-新しい貧困とニッポン-(TV朝日)」で堀紘一
氏(ドリームインキュベータ会長)が、このようなことを言っていた。

「日本は製造業に特化すべき。ITは英語のできるインドの比ではない。」
 (堀氏の言葉は、記憶している範囲で書いています。)
これは田原氏が「日本に将来はあるのか?」と言う質問に対してだったと思う。

堀氏の言葉に、どうもここ何日も喉に刺さった魚の骨のようなストレスを感じ
ていた。でやっと自分の中でまとまった。

堀氏が言うのは「世界トップになれるのは」と言う意味だと思うが、たぶん、
50年先もITトップはアメリカだと思う。
何故ならIntelMicrosoftCiscoOracleSun MicrosystemsIBM。名だた
るIT主要企業はアメリカに本拠地があり、製品の殆どはアメリカで生産され
ているからだ。


2つ目に、堀氏はITに対する偏見がありすぎる。
英語ができなければ、と言うのであれば、今ですらワールドワイドにやってい
かないといけない時代と言われている時代。製造業だけが例外とは言えない。


3つ目に日本のIT業界の悪い点として、ゼネコン化が危惧されている事を、
堀氏は知らないのだろうか。
インドでは上流は自社生産。下流は専門職者を雇うという形を取っている。
日本は、元請けが受け、それを下請けに丸投げしている形だ。

インドもある意味、派遣社員を利用しているが、プログラマー等の下流工程は
専門職者であってそれ以上ではない。つまり上流と下流で分業されているとい
うことだ。

日本の場合は、基本的に元請け会社は下請け会社らに丸投げしている。
下請け会社は、メリットが少ないと思えば自分たちの下請け(孫請け)に丸投
げする。
多重構造化していて、上位元請け会社らはマネージメントかそれ以下の事しか
行わない。これでは納品後に何かトラブルがあった場合、顧客側の不安や不満
は大きくなるし、改修を依頼するにしても手続きも面倒になる。



何を言いたいかというと、堀氏は「英語や英会話が出来ない」を、日本のIT
業界が上り詰められない理由のように述べていたが、そうではない!という事
を言いたい。

実態は知らないが、もし日本のIT業界が伸び悩んでいるのなら、それは構造
的な問題で、日本の悪しき慣例の上で成り立っている業界の現体制が足を引っ
張っていることも要因としてある。ということだ。




蛇足だが、
朝まで生テレビ-新しい貧困とニッポン-(TV朝日)」で話されていたことに、
スキルアップ』という言葉が頻繁に上がっていたが、それは個人の問題。

松原 聡氏が「派遣社員は、日本の労働人口6千万人のうちわずか2%」とい
う言葉もあったが、だから“どーでもよい”と言うなら、この番組でこの話題
を取上げる必要も無い。


感覚として人を雇っているという見かたをしているようだが、派遣会社にとっ
派遣社員たちは“商品”だ。
製造業者なら自社商品を管理するし、更に上位商品になるよう、付加価値が高
まるように開発を行う。しかし派遣会社らは「自分で勉強すべき」と言って憚
らない。

人として見た場合は、確かに努力もせずに高給取りになるな!と言いたい気持
ちになるのは当然だ。
しかし商品なのだから、そこに企業としての努力は必要。ここに誤解があるよ
うに俺は感じた。